reward




改札をすり抜けて目的地まで走りながら藤代はちらりと自分の腕時計を見た。

ギリギリの時間になるほど電車が遅延するのは計算外で。

早めに出て先に待っていようと思っていた手前、嬉しいような切ないような気分でとにかく走る。

そしてなんで待ち合わせを外にしたんだろう。

あまりの気温の低さに顔が、指先がひどく寒い。というか、痛い。

約束まであと数分。

待ち合わせのあの場所で寒がってないだろうか。

強い北風に負けないよう、大好きな人の元へと速度を上げてとにかく、走った。





ようやく待ち合わせ場所が見えた。

いつもはそれなりに人が居るはずのこの場所だが、今日は思ったよりも少ない。

やはりこの殺人的な寒さで、飾り付けられたクリスマスツリーがある広場に移ったのだろうか。

待ち合わせ場所として使っている人はいないようで、足早に通り過ぎる人ばかりだった。

きょろきょろと辺りを見回すと、すぐに金色の髪が視界に入る。

見つけた。

「佐藤っ!」

いつもこの瞬間に自分の顔が緩んでしまう自覚がある藤代は、それでもやっぱり嬉しくて笑む。

よく待ち合わせの目印に使われるモニュメントを風避けにして成樹は立っていた。

真っ白いマフラーをぐるぐると巻いて、光沢のある黒のダウンのポケットに手を入れて。

「走ってきたん?」

「っはぁ…、電車…遅れてさ…っ。…っていうか佐藤寒く…ね?どっか、入ろ」

息を整えつつ近くの喫茶店と駅ビルとどちらがいいか考えていると、くす、と笑い声が聞こえた。

視線を向けるのとほぼ同時に、ポケットから手を出した成樹が藤代の両頬にぺたりと手を当てる。

瞬間、一気に温かい熱に包まれた。

「鼻先真っ赤になっとる」

くすくすと楽しそうに笑いながら、ポケットにカイロ入れてん、と成樹が言った。

「あったかいやろ」

妙に機嫌がいいらしい成樹の普段あまり見られない行動に、藤代はただただ驚いて反応を返せないまま固まった。

その様子を楽しむように成樹がいたずらっぽく笑う。

そして更に、ちゅっ、と掠めるようにほんの一瞬だけ触れていく唇の熱。

「!…っさ、さと…?」

「走って来たご褒美な。」

えらいえらい、と頭を撫でる成樹にただされるがままになっていた藤代がハッと我に返った。

「さとーっ!!」

「はいはーい、往来で抱きつくな言うたやろアホ代くーん」

先手を打った成樹が片手で藤代の顔を押しやり完璧なガードを作った。

「ひどっ!佐藤ちゅーしたくせにっ」

「人居らんの確認したしー…ってデカイ声で何言うねんアホ」

「俺もちゅーしたいっ」

「デカイ言うてるやろっ!ええから買い物終わらせて早よ帰るで」

藤代を押しやり、成樹はさっさと駅ビルの中のスーパーへと歩き出した。

ちらりと後ろを見ると不満そうな藤代がお預けをくらった犬そのものの表情でついてきている。

それを可愛いと思うあたり末期だなと思いつつ、やっぱり甘やかしたくなってしまう。

「なんか一品くらいはリクエスト聞いたるわ」

クリスマスやしな。



そう言って笑う姿に感動して思い切り抱きついた全く学習しない藤代の鳩尾に成樹のパンチが決まるまで、あと3秒。





















*****2011/12/25
久し振りの藤シゲです。クリスマスなのでシゲが藤代くんを甘やかしてます。
うちの藤シゲのシゲはツンデレ度がツンが通常は高め設定なのですが今回はちょとデレ多め、笑。
これからおうちに帰ってシゲ手料理のクリスマスパーティとかやればいい!可愛い!
藤代くんは最初から最後までにっこにっこしてて「幸せー」って言ってたらいい。
シゲも「はいはい」とか言いながらくすぐったそうに笑えばいい。
二人が素敵なクリスマスになりますように!
そしてオカイチさん、相変わらずの藤シゲですがよければ貰ってやって下さいませー。