Voise
炎天下、とは良く言ったものだと思う。
暑い。焼けるような空の熱に支配された地面がジリジリと反射して尚暑い。
なにもこんな時間にCD返しに行く必要なかったな、と後悔しながら水野は自宅へと向かう。
蝉の声が降って来る様な大合唱も暑さに拍車をかけていた。
「たっつぼーん!」
「っぅあ!?」
突然後ろから飛びつかれ、水野は衝撃にバランスを崩しそうになりながらも何とか踏み堪えた。
怒鳴ってやろうと振り返ると、目の前には金色の髪。
そして、いたずらを仕掛けるときの成樹の生き生きとした目だった。
「…なにやってんだよ」
「暑いねん!涼しそうな顔しとるたつぼんにシゲちゃんの暑さのおすそ分けや」
「いらねぇよ」
暑いから離れろ。
そういってかわす言葉に混じっているのは、知られたくない心臓の音と今の自分の顔。
でも成樹の、顔あかーい、と屈託無い笑みを向けられてしまうと反論の言葉が出ない。
そんな水野の様子に気付いているのか気付いていないのか成樹が水野の前へ身を乗り出した。
「もうな、ほんっっまに暑ぅてどないしよ思てたんや」
たつぼん家行ってええ?と、ご機嫌な成樹。
「…っ別にいいけど、多分何もないぞ?」
「ええよ〜。涼ませてくれるだけで充分」
「何か買っていくか?」
「構へん、金ないし」
ええから行こ?と、微笑って先を歩き出す成樹に遅れないよう、歩調を速める。
「あ、ちょっと待ってて」
途中で見つけたコンビニに寄り、手早く用事を済ませて成樹のもとへ戻る。
「何買ったん?」
「今日出たサッカー雑誌」
「お、後で見せてな」
「…と、」
これ、と差し出したコーラのペットボトル。
予想もしていなかったのか、久しぶりに見た成樹の驚いた顔。
やがてその表情が、嬉しそうな、柔らかい笑顔へと変わった。
そして受け取ったコーラを見ながら、ふと、何かを思いついたような顔で。
「おおきに。めっちゃ嬉しい」
いつもの綺麗な笑みでそこまで言うと、そっと腕を引かれた水野の耳元に、
「お礼に、部屋着いたらちゅーしたるな」
ニッと笑う、確信犯の、小さな甘い声が届いた。
*****2005/08/15
遅くなって申し訳御座いません、龍樹様!
17000hitの自己申告有り難う御座いました!
久々のSS(もどき)で何だかなぁな話になってしまいましたが、宜しければ貰ってやってください!
私が書くと竜ちゃんやや押され気味な水シゲに…笑。
少しでもお気に召して頂けたら幸いです!
どうも有り難うございました!
タイトルは「声」です。