declare
週末からの合宿の、細かい打ち合わせをしていた。
一通りの計画内容を立て、コーチの松下と深く掘り下げながら話し込んで。
思ったより時間がかかってしまい、いつもはまだ明るい空も、少しずつ星が瞬き始めていた。
備品のチェックと日誌を書いたら、もうさっさと帰ってしまおう。
そう思って部室のガラス戸を、引いた。
「…シゲ?」
だから、まさかまだ部室に人が残っているなんて思いもしなかった。
まだ日が落ちるだいぶ前に帰ってしまっているとばかり思っていた。
部室の中央におかれたテーブルに、その金色を、見つけるまでは。
「寝てるのか?」
覗き込んで声を掛けても、全く起きる気配すらない。
規則的な呼吸に微かに上下する肩が、それを感じさせる。
その両腕に隠すように顔を埋め、ただ聞こえるのは小さな寝息。
どうしていいのか分からず、音を立てないように、向かい側の長椅子へと座った。
自分で起きるか、日誌を書き終えるまではこのままでいいかな、と。
殊更慎重に開いた日誌に日付を書いて、ふと視線を向けた、その時。
ふわり、と入り口から吹く風に誘われて金糸が微かに、宙を舞った。
ほんの、たった一瞬の、そんな出来事に、目が離せなくなる、なんて。
無意識にそっと伸ばした手で、その金に、触れた。
指を、絡めた。
「…ん」
「!」
微かな身動きと共に、髪に触れていた手を握られた。
起こしたかと思い慌てた水野に反して、成樹はまだ深い眠りの中にいるようで。
規則正しい寝息を確認し、思わず止めていた息を静かに吐いた。
「…シゲ」
小さな声で名前を紡ぎ、握られた手に、自分の手を重ねる。
瞼に隠されている、色素の薄い、きれいな瞳。
今はまだ、その瞳を見つめながら言う事はできないけれど。
そんな自分の弱さに、また少し、苦笑して。
「…好きだよ」
その耳元に、囁いた。
*****2006/09/17
遅くなってしまってすみません。そしてまたヘタレ気味の水野くんでした。笑。
みんなやたらと髪を触りたがるのは私が触りたいからでもあります!
そして全く目を覚まさなかったシゲ。ゴメンネ水野くん。
こんなものですが奈央様へ献上いたします!どうも有り難う御座いました!!